東日本大震災について 労働組合の課題

3月11日に東日本を襲った巨大地震と巨大津波、そして福島第一原発の事故から一ヶ月がたちました。確認されている死者・行方不明者だけでも2万8千名をこえ、避難者はおよそ14万人、炉心溶融した福島第一原発は制御することもままならないまま、今なお放射能を出し続けています。

全国一般ユニオンおおさかは、犠牲になられた人々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災された人々に心からお見舞い申し上げます。

被災地では今、家族や友人を失い家屋も奪われた多くの人々が苦難にみちた避難生活を余儀なくされています。職場を失い解雇され生活の糧を奪われた人も多数います。そのうえ、福島第一原発の炉心溶融事故、水素爆発は福島県をはじめ関東・東北一円に放射能を撒き散らし、避難区域の拡大、被爆者の増大、農業・水産業の被害等々をもたらしました。

私たち、全国一般ユニオンおおさかは、こうした被災者を支援する取り組みをおこなうとともに、労働組合として今やれることに取り組んでいきます。

まず、第一に、被災者支援のカンパ活動、被災地現地での支援ボランティア活動です。今、上部団体の自治労大阪、連合大阪は、被災者支援のカンパやボランティア活動に取り組んでいます。とりわけ、自治労大阪の仲間たちは、東日本大震災で被災した自治体とその職員の支援に全力をあげて取り組んでいます。多くの自治体では被災した職員たちが少ない人手で被災者支援のために昼夜を問わず働き限界状況になっています。そのため自治労の仲間たちは全国から被災地に駆けつけ、被災者と被災自治体の支援のために働いています。全国一般ユニオンおおさかもこうした自治労の仲間たちと連帯して被災者支援に取り組んでいきたいとおもいます。

しかし、自治体職員の不足、被災者救援の遅れ・不十分さは、自治体の業務の民営化、福祉や公共サービスの切り捨ての流れと無関係ではありません。労働組合としては、被災者支援活動の中で同時に、このかんの福祉や公共サービスの切捨ての問題を指摘し、その抜本的改善を求めるべきだとおもいます。

そして、第二に、東日本大震災に関連して、リストラ・解雇される労働者を支援する取り組みです。今、大阪でも、震災の経営・経済への影響を理由にした賃下げ、リストラの動きがあります。東北や関東の関連する工場や営業所が被災し、生産減、売上げ減を余儀なくされた企業が多いからです。こうした震災のシワ寄せが働くものに押し付けられないように労働組合としては取り組んでいかなくてはなりません。賃下げ、リストラの労働相談活動を強めていきたいとおもいます。

さらに、第三に原発・核開発に反対する取り組みです。政府は、福島第一原発事故は史上最悪のチェルノブイル原発事故級のレベル7にある、と発表しました。福島第一原発事故は、原発労働者たちが被爆しながら決死の覚悟で作業をしているにもかかわらず、放射能の漏洩と拡散は止まらず、原子炉・格納容器爆発の危機もいまだ去ってはいません。半径30キロ圏内・周辺の市区町村の住民が集団で避難を余儀なくされ関東・東北一帯の住民が被爆し不安と恐怖をいだきながら生活しています。原発労働者たちは、例えば、線量計なしで、あるいは汚染水の中での作業を強いられ大量に被爆するなど、東電や政府の安全性を無視ないし軽視した作業指示の犠牲になっています。こうした原発事故と甚大な被害をもたらした東電と政府の責任を追及し、これ以上の被害の拡大を防ぎ避難者を救援する適切な施策を早急に取るように求めていかなくてはなりません。

そもそも、福島第一原発事故に示されるように、原発は一旦暴発すると制御不能になって有毒な放射能を撒き散らす危険なもの、恐ろしいものです。電力各社や歴代の政府が、日本の原発は安全である、原発はクリーンなエネルギーなどと言い、災害時の安全対策もおこたって原発・核開発を積極的に推進してきた責任は重大であるといわなければなりません。

地震国日本には危険な原発が他にも多数あります。全国一般ユニオンおおさかは、高速増殖炉もんじゅを廃炉にする闘いをはじめ原発・核開発に反対する取り組みを強めていきたいとおもいます。